2024.2.17

ダイカストに関連する展示会とその特徴

概要

ダイカストに携わる者であれば行っておきたい展示会は3つあります。日本ダイカスト会議、GIFA、EUROGUSS、これらをおさえておけば、あなたもダイカスト通です。各展示会の特徴、豆知識、食事などなど、実際に足を運んで得た情報をお知らせします。当記事を読んでいただき、興味をもっていただければぜひ海外の展示会に行っていただきたいです。

展示会

1. 展示会に参加する意味

ISO 25639に展示会について定義されています。それによりますと、
「展示会とは商品・サービス・情報などを展示、宣伝するためのイベント(ただし、フリーマーケットや路上販売は含まない)」
となります。そりゃそうでしょうね、という感想を持たれると思います。それだけでは寂しいので、少し展示会のメリットを考えてみますと以下のようにまとめられます。

参加者のメリット

  • 市場の最新情報を収集できる
  • 商品、サービスを効率よく確認及び商談できる
  • (観光できる)

出展者のメリット

  • 自社の商品及びサービスを直接宣伝できる
  • 商品及びサービスの商談ができる

展示会に参加する意味は人それぞれですが、おおよそどれかひとつには該当するかと思います。また、上記からわかるように、展示会は参加者、出展者、いずれも効率がよいのです。出展費は置いといて、基本的に参加者と出展者がWin-Winとなるように制度設計されています。

展示会

2. とりあえず行っとくべきダイカストに関する展示会

ダイカストに携わる方であれば、日本ダイカスト会議・展示会、GIFA、EUROGUSS、この3つをおさえておけばOKでしょう。以下に比較しました。

日本ダイカスト会議・展示会 GIFA EUROGUSS
開催地 日本 横浜 ドイツ デュッセルドルフ ドイツ ニュルンベルク
会場 パシフィコ横浜 Messe Düsseldorf NürnbergMesse
開催頻度 2年に一度 4年に一度 2年に一度
展示面積 10,000m2 51,287m2 18,758m2
来場者数 23,500名(2018年) 45,597名(2019年) 15,354名(2018年)

2.1 日本ダイカスト会議・展示会

日本のダイカストに関する展示会と言ったら日本ダイカスト会議・展示会です。紳士淑女、ダイカストに関わる方々が2年に一度、横浜に集まります。会場はパシフィコ横浜です。偶数年の秋ごろに開催されています。2020年はコロナの影響で開催されませんでした。

日本ダイカスト会議・展示会は読んで字の如く、会議(講演会)と展示会の2つがあります。講演会は有料、展示会は無料となっています。講演会は学術的というよりエンジニアリング寄りの講演が多いので、聴きやすいと思います。展示会の会場面積は10,000m2程度です。欲張らなければ1日でまわれる規模です。

参加者は比較的スーツ着用の方が多く、展示会全体として固い印象を受けます。出展者はスーツないし作業着が多いです。

日本ダイカスト会議

2.2 GIFA

GIFAは「ギファ」と発音します。ドイツのデュッセルドルフ(Düsseldorf)で開催される国際鋳造見本市です。4年に一度開催され、世界各国から鋳造を生業としている人々が集まります。日本では、GIFAの会期が近づいてくるとソワソワしだす方が多いです(当社調べ)。
GIFAと一括りに呼んでいますが、実は4つの見本市が同時開催されたものをGIFAと呼んでいます。以下が4つの見本市の名称と特徴です。

  • GIFA 鋳造技術
  • METEC 冶金
  • THERMPROCESS 工業炉、熱処理
  • NEWCAST 鋳物

GIFA2023

これを見てお分かりの通り「鋳造」に関わる展示会になりますので、鋳鉄、鋳鋼、アルミニウム鋳造、ダイカストなどなど、幅が広いです。したがって展示会場面積は52,000m2(GIFA 2023)ととてつもなく広いです。日本のダイカスト展示会のざっくり5倍あります。とにかく大きいので1日でまわれません。会期は5日ありますので、数日かけてまわられる日本人が多いです。

参加者の服装は割とフランクです。ジャケパンであればドレスコード的に問題ないように思います。中には短パンの方もみかけます。会場が広いので歩きやすい靴がいいですね。出展者はスーツ着用が多く、次いでジャケパンスタイルを多いです。やはりイタリア人は着こなしが洒落乙です。

6月開催となりますので、ヨーロッパのベストシーズンです。暑くもなく、寒くもなく、とにかくいい季節での開催となります。
会期中はホテルの価格が爆上がりします。日本でいうビジネスホテルで1泊3万円とかざらにあります。デュッセルドルフに滞在されるなら、かなり早めの予約が必要です。当社のおすすめは、周辺都市のケルン滞在です。ICE(高速鉄道)でケルンからデュッセルドルフまでで30分ぐらいですので、交通費を加味しても滞在費がデュッセルドルフ泊よりもリーズナブルになります。ケルン大聖堂がありますので、観光を兼ねても良いと思います。

ケルン

ICE

2.3 EUROGUSS

EUROGUSSはユーログースと読みます。会場はニュルンベルクメッセ(NürnbergMesse)です。フランクフルト国際空港からICEで2時間ぐらいの距離になります。中世の建物が残る歴史のある都市ニュルンベルクですが、会期は1月ですのでとにかく寒いです。イメージとしてスキー場にいる感じといえば伝わりやすいかもしれません。2年に一度、偶数年に開催されます。

EUROGUSS2024

EUROGUSSはGIFAほどの知名度はありませんが、国際的なダイカスト見本市ですので規模は日本のものよりかなり大きいです。会場面積は31,000m2(EUROGUSS 2024)とのことですので、日本のダイカスト展示会の3倍あります。まわりきるのに2日は必要と思います。アルミニウム合金ダイカストを専業とされている方は、GIFAよりもEUROGUSSの方がまわりやすいです。ちなみにダイカストといっても、LPDCも含まれます。日本ではダイカストといえばHPDC(High Pressure Die Casting)ですが、ダイカストは金型鋳造を指しますのでLPDC(Low Pressure Die Casting)も当然含まれます。

参加者及び出展者の服装はGIFAと同様です。コート必須ですので必ず持参してください。会場に有料のクロークがありますので預けると楽です。

GIFA同様にEUROGUSSの会期中はホテル代が高騰します。ただ、感覚的にはGIFAほどは高騰しません。地下鉄で30分ぐらい離れたホテルであればほぼ通常価格ですので、そちらに滞在されることをおすすめします。

ニュルンベルクは白ソーセージが有名なようです。そしてニュルンベルク城!ただ、なんといっても会期が1月なのでとにかく白い。6月開催にしてほしいです。

ニュルンベルク

ニュルンベルク名物

3. ドイツと日本の展示会の違い

ドイツと日本の「展示会」にはいくつかの違いがありますが、その中でも最も大きな違いは「見本市(Messe)」と「展示会」の性質でしょう。極論になりますが、見本市は商談ベース、展示会は情報交換ベースともいえます。

展示会会場

「見本市」とは、ドイツを含むヨーロッパの展示会の一般的な呼び方です。これは多くの場合、世界中から関連する業界や企業が参加する大規模なイベントになります。GIFAやEUROGUSSなどの国際的な見本市は、世界中から幅広い参加者が集まります。出展者側もビジネスとして成立してナンボの世界になりますので、商談の色が濃くなります。
他方、「展示会」とは日本で一般的に使われる用語です。ドイツの展示会と比較すると比較的小規模なイベントになります。日本ダイカスト会議・展示会がこれに当たります。展示会は、特定の業界やテーマに焦点を当てて、関連する企業や専門家が集まる場を提供しますが、規模は見本市ほど大きくありません。主に国内に目を向けられていますので、商談というよりは情報交換、機会の創出という側面が強いように思います。

このように、ドイツと日本の展示会は、名称や性質、参加者の服装や雰囲気などにおいて異なる特徴を持っています。ただし、両者ともビジネスの促進や情報交換の場として重要な役割を果たしています。それぞれの文化やニーズに合わせて発展していますので、どちらがいい悪いというのはありません。とにかく展示会に参加してみて何かを得られればそれでいいように思います。

マテリアルデザインイメージ

マテリアルデザインにできること
鋳造不良の原因分析
仕入先支援
ベンチマーク調査
⼯程設計⽀援
鋳造教育
鋳造設備、副資材の販売

参考文献

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