2023.10.13

アルミニウム合金の熱処理条件

概要

アルミニウム合金のT5、T6の熱処理条件は、インターネット上にはなかなかいいものがありません。そこで熱処理条件について文献を調べてみました。本ページでは、アルミニウム合金鋳物、展伸材の熱処理条件について記載しています。
ダイカストの熱処理条件は、論文、商業誌には多少記述がありましたが、各合金系においてまとまっていないので記述していません。

JIS H 5202 アルミニウム合金の熱処理条件

1. アルミニウム合金鋳物の熱処理条件例

軽金属学会のハンドブック(アルミニウムの組織と性質)1)にアルミニウム合金鋳物の熱処理条件が記載されています。メジャーなアルミニウム合金の条件を以下に示します。
表の熱処理条件を考えると、いまどきじゃないかな、と少々思います。

合金名 調質 溶体化処理 時効処理
温度, ℃ 時間, h 温度, ℃ 時間, h
AC2B T6 500 10 160 5
AC4B T6 500 10 160 7
AC4C T5 - - 225 5
AC4C T6 525 8 160 6
AC4CH T5 - - 225 5
AC4CH T6 535 8 155 6
AC8A T5 - - 200 4
AC4CH T6 510 4 170 10

2. アルミニウム展伸材の熱処理条件例

軽合金材料2)にアルミニウム展伸材の熱処理条件が記載されています。メジャーな展伸材の熱処理条件を以下に示します。
溶体化処理温度の記載はありますが、溶体化処理時間については記述がありません。

合金名 調質 溶体化処理 時効処理
温度, ℃ 時間, h 温度, ℃ 時間, h
A2024 T6 495 記述なし 191 12
A6061 T6 530 記述なし 160 18
A6063 T5 520 記述なし 175 8
A7075 T6 480 記述なし 121 24

3. アルミニウム合金の熱処理とメカニズム

アルミニウム合金は基本的に析出強化というメカニズムによって強化されます。固体から固体がでるというパッときくとよくわからない原理なのですが、マトリックスに強いミスフィットひずみを与えることで強化します。
アルミニウム合金鋳物の処理について、以下のリンクに詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

カーボンニュートラルにおける熱処理時短、アルミニウム合金鋳物の高強度化、ダイカストの熱処理条件選定など、興味がありましたらぜひお問い合わせください。

Contact

鋳造に関する問題、課題、お気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちらより承っております。

お問い合わせ

出典
1) アルミニウムの組織と性質, 軽金属学会(1991)
2) 軽合金材料, 里達雄(2011)

Articles

鋳造用アルミニウム合金

2023.03.14

鋳造用アルミニウム合金の基礎と種類

鋳造用アルミニウム合金について、基礎から実用合金までを詳しく説明したページです。鋳造用アルミニウム合金はアルミニウムとシリコンを基本とし、共晶凝固という固まり方をするのが特徴です。Al-Si系状態図、合金の種類を解説しています。ダイカスト、重力鋳造など、凝固がわかると鋳造がわかるようになります。

ADC12の材質と特徴

2023.10.25

ADC12の材質と特徴

ADC12とは、アルミニムダイカストに使用される合金のひとつです。このアルミニウム材料は、材料費がリーズナブルであること、鋳造性が良いこと、切削性が良いことから、日本のダイカスト業界で最も多く使用されています。日系企業の海外進出に伴い、国際的にも広く使用されています。本記事では、ADC12の材質と特徴について詳しく紹介します。

ダイカストの鋳造不良

2024.03.17

ダイカストの代表的な鋳造不良10種とその対策

ダイカストの特徴は、速度がはやく、圧力が高く、急冷されることにあります。これによって生産性のよいものづくりができるわけですが、品質にとってはプラスとマイナスの因子が混在することになります。このため、ダイカストには鋳造不良が発生しやすいと言われています。そんなダイカストにおける鋳造不良について考えてみます。

Articles一覧

マテリアルデザインイメージ

マテリアルデザインにできること
鋳造不良の原因分析
仕入先支援
ベンチマーク調査
⼯程設計⽀援
鋳造教育
鋳造設備、副資材の販売

参考文献

Published Material

参考文献